ID 06347
部門 茶碗
道具名 刷毛目茶碗 松浦鎮信筆
価格
説明 刷毛目茶碗 ― 松浦鎮信筆 蓋裏・古筆了仲 添状付 ―

本作は、素地の土味をそのままに活かした刷毛目の景が印象的な一碗です。
鉢形に開く端正な姿に対し、外側をぐるりとめぐる刷毛目は、柔らかい動きと野趣が絶妙に調和し、
素朴のなかに静かな品格を宿しています。見込みには自然釉がほどよく溜まり、
長年の使用と手入れによって育まれた穏やかな風合いが感じられます。

本品には、肥前平戸藩主として知られる**松浦鎮信**の筆による銘が、
蓋裏に金泥で記されています。鎮信は武家茶人としても名高く、
千利休や古田織部を通じて茶の湯文化に深く通じた人物で、
その書風には凛とした気韻が漂い、道具に一層の風格を添えています。

さらに箱裏には、古筆了仲(こひつ りょうちゅう)の添状が貼付され、
茶碗・蓋・箱が揃いの道具として伝来してきたことがうかがえます。
古筆了仲は古筆家の中でも信頼の厚い鑑定家として知られ、
その書付が残されている点は、本作の来歴を支える重要な資料といえます。

刷毛目の素朴な味わいと、武家茶人の美意識、
そして古筆家による確かな鑑定資料が一碗に集う、
非常に見応えのある茶碗です。
歴史を手の中に感じさせる、深い趣の一作となっています。
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